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『BENT ROAD WINERY & DISTILLERY 』 セラードア編
『BENT ROAD WINERY & DISTILLERY 』
セラードア編
〜美学と愛が息づく空間〜
重厚で美しい扉の前に立つと、中からグレンさんが優しく微笑みながら
「さあ、どうぞ!」
と私たちを迎え入れてくれました。
これから始まる時間への期待感に胸が高まります。
扉の向こうは、どこを切り取っても洗練された美空間。
そこに息づいているのは訪れる人を包み込む深い『愛』と、インスピレーションを与える美学。
そこにいるだけで、心地良い刺激と深い癒しをもらうような、特別な感覚に包まれました。
そんな最高の空間で、いよいよ始まったテイスティング。
中でも、私の目を釘付けにしたのは、あまりにも独創的でスタイリッシュなラベルを纏ったワインたちでした。
一つは、骸骨が横たわる衝撃的なラベルのワイン
『La Petite Mort(ラ・プティ・モール)』
約8000年前のクヴェヴリで醸すワイン醸造技術へのリスペクトと、最新技術を織り交ぜて生み出した、グレンさんの自信作です。
このワインの世界観を表現するため、彼が目を留めたのは、大学時代の親友である著名なアーティストの古い写真集でした。
そこに描かれていたのは、
「葡萄作りに生涯を捧げた者が、肉体は朽ちて白骨化してもなお、葡萄を愛おしそうに抱きしめ続けている姿」。
切なさと情熱が入り混じるそのメッセージに心揺さぶられた彼は、すぐに友人に連絡をとり、このアートをラベルにする許可をもらったそうです。
ボトルを眺めているだけで、葡萄に対する永遠の愛が、胸の奥にじわじわと伝わってきます。
そしてもう一つ、女性が叫んでいるモノクロのラベルが印象的なワイン
『Wilhelm Scream(ウィルヘルム・スクリーム)』
こちらは、通常の常識では考えられないような、実験的な葡萄の掛け合わせから生まれた、まさにモダンアートのようなワイン。
名前の由来は、モノクロ時代からハリウッド映画で使われてきた、あの有名な『叫び声』からきているそう。
グレンさんの緻密なセンスによって生み出されたその味わいは、まさに飲み手の目を見開かせるほどの衝撃!
それでいて、どこまでもスタイリッシュで繊細な余韻が残るワインになりました。
洗練された空間と確かな技術、そしてボトルに秘められた切なくも熱いストーリー。
その全てが五感を満たし、旅の最後にふさわしい、震えるほどの感動を、私に刻みつけてくれました。
オーストラリア・クィーンズランド州の美しき郷、グラニットベルトのワイナリーを巡る旅。
美しく、豊かで、優しくて。
発酵の神秘を五感で味わい尽くす、プレミアムなガストロノミーの旅。
最高のフィナーレとなりました。
この旅で出逢ってくれた全ての人とワインに、そしてどこまでも続く広い空と大地、動物、植物たちにも、心からの感謝とリスペクトを込めて…
I LOVE GRANITE BELT
文・写真:@shishidon_wine(醸し塾 伝道師)