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グラニットベルト発酵紀行

17CHAPTER 17 / 28

Jester Hill Wines

Jester Hill Wines

『Jester Hill Wines』

〜道化師の丘で出逢った、心と体を癒す場所〜

セラードアに入ると、まず目に飛び込んでくるのが、温かいタッチで描かれた歴代の看板犬たちの絵画です。

彼らがいかに家族として愛されてきたかを綴った文章と共に、大切に飾られていました。

ここは、

Jester Hill Wines

(ジェスターヒル・ワインズ)。

オーナーのMick(ミック)さんは精神科医、奥様のAnn(アン)さんは看護師という、医療の現場で人々に寄り添ってこられたご夫婦が営むワイナリーです。

「人生にはリラックスして楽しむ時間が必要。ワインはその為の最高の道標なんだよ」

そう語るミックさんは、葡萄を摘み取るベストなタイミングを逃さないよう、夜明け前から自ら機械を操って収穫するのだそうです。

壁の絵画に描かれた歴代の犬たちの物語は、今のワンちゃんたちにもしっかりと受け継がれています。

私たちを見つけると、すぐにおもちゃを咥えて駆け寄り、「投げて!遊ぼうよ!」と全力でアピール。

広い敷地を弾けるように走り回る、その幸せそうな姿に、こちらまで自然と笑顔になってしまいました。

そんな命への慈しみは、犬たちだけではありません。

ここには、のんびりと過ごす元競走馬たちもいます。

実は私、馬が大好きで、いつか「引退した競走馬たちが幸せな余生を過ごせる場所」を作りたいという夢があります。

かつて戦いの場にいた馬たちが、今は穏やかな風の中で大切にされている。

ミックさんたちの優しさは、人間だけでなく、ここに集うすべての命に向けられていました。

『笑顔を運ぶ道化師のボトル』

Jester (道化師)という名には、気さくに楽しく人々を笑顔にしたいという願いが込められているそう。

ラベルのピエロも、見ているだけで元気がもらえます。

試飲して購入したのは2018年のシラーズと、2025年出来たてのヴェルデーリョ。

こちらはまだ販売直前のものでしたが、ミックさんが急遽その場でラベルを作り、貼り付けて売って下さいました。まさに世界に一つだけの特別な思い出です。

出掛ける前に顔を出してくれたアンさんの、すべてを包み込むような優しい笑顔。

Jester Hill Wines での時間は、まるで故郷に帰ってきたような、ほっと安らぐひとときでした。

文・写真:@shishidon_wine(醸し塾 伝道師)

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